医療費控除
  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その1~

    最近、医療費控除に関するお問い合せが多くなってきています。医療費控除について解説します。

    1.はじめに

    どこの家庭でも医療費は年とともに家計費に占める割合が高くなり、将来の生活不安材料の一つとなっています。「医療費控除」によって税金を軽くしてもらおうとするには、申告書を税務署に提出しなければなりません。

    医療費控除は申告によって
    1)税金が安くなる人
    2)納めすぎとなった税金を返して(還付して)もらう人に分かれます。

    2.医療費控除のルール

    1)誰のために支払った医療費か

    ①自分のため
    ②配偶者のため
    ③親族のため
    この「親族」ですが、民法では6親等内の血族と3親等内の姻族と定められており所得税はその規定に従っています。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その2~

    2)これらの方々と「生計を一に」が条件

    ひとつの屋根の下で暮らしていても、家計が別になっているのであれば「生計を一に」していることにはなりません。「同居」「別居」とは関係がないのです。なお、1年を通して「生計を一に」している必要はなく、医療費の支出があった時点で「生計を一に」していればよいことになっています。別居している両親であっても、あなたの仕送りによって暮らしを立てている場合は、多少の収入があっても「生計を一に」していることになります。要はカマド(・・・)が一つか別々かということです。

    3)扶養の有無は問われない

    共働きの例をとりますと、夫が妻の医療費を負担しても、夫に医療費控除が認められます。その逆も同じことです。また収入のある子供の医療費を父親が支払った場合も、父親が医療費控除を受けられます。

    4)その年中に支払ったものに限られる

    医療費控除の計算は年ごとに区切って行います。したがって「その年中に支払ったもの」に含まれないものは、翌年分の医療費控除の計算の対象になります。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その3~

    3.医療費控除額はどのように計算するのか

    1)医療費控除額の計算式
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    2)設例  支払った医療費 30万円(入院費等)

    保険会社から支払われた入院費 3万円(1日3,000円×10日分)
    所得金額 400万円(収入金額でありません)

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  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その4~

    4.医療費の範囲
    1)医療費控除の対象となる医療費は、次の7項目に限定される

    ①医師又は歯科医師による診療又は治療の対価

    健康診断の費用は診療等の対価にはなりません。

    ②治療または療養に必要な医薬品の購入費

    自分の意志で購入した売薬等の医薬品の購入費は、その薬が「治療又は療養に必要」であることが明らかでなければ医療費にはなりません。
    なお、薬品名の記入がない領収書をもらったときは、必ず「○○腹痛薬」などと薬名と製薬会社名を記入しておきましょう。

    ③病院、診療所又は助産院へ収容されるための人的役務の提供の対価

    通院費がこれになります。
    バス代、地下鉄代などの交通運賃、タクシー代のようなものをさしています。
    ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代といったものは除かれます。
    人的役務の提供の対価ではないからです。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その5~

    ④あん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の施術料

    疲れをいやす、体調を整えるなど、医療に関係のない施術料は医療費にはなりません。
    神経痛、腰痛などの症状にもとずく施術であれば該当になります。

    ⑤保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話の対価

    「療養上の世話」とは付添いのことですから、付添料といってよいでしょう。
    家政婦派遣所等に依頼して派遣してもらう付添料も「医療費控除」の対象となります。
    付添人に支払ったお礼は該当になりません。
    また家族や親戚縁者に付添いを頼んだ場合は、たとえ付添料の名目でお金を払っても医療とはされない事になっています。

    ⑥助産師による分べん介助の対価

    ⑦診療、治療、施術又は分べん介助を受けるため直接必要な次のような費用

    ア.通院費用、医師の送迎費用、入院の部屋代や食事代の費用、医療用具の購入代や賃借料の費用で通常必要なもの。
    イ.義手、義足、松葉づえ、補聴器、義歯などの購入費用
    ウ.身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師などの診療費用やア、イの費用に当たるもの。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その6~

    5.医療費控除の申告の仕方

    医療費控除を受けることによって税金を返してもらう場合を「還付申告」、納める税金を軽くする場合を「確定申告」といいます。

    1)サラリーマンの場合

    ①源泉徴収票
    ②支出した医療費を証明する領収書
    ③領収書のない医療費(通院交通費など)の支払明細(メモ)を自分で作ります。

    2)サラリーマン以外の人の場合

    上記②、③同様です。

    3)医療費を受けた人が二人以上いる場合や医療費の中味が多様な場合

    申告書の記入欄一行では無理です。
    税務署に備えてある「医療費の明細書」の用紙を使うのが便利です。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その7~

    1)入院中の“はり師”への支払いは条件付きで控除対象になります。

    法律にもとづく、あん摩マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師および柔道整復師の施術の対価、つまり施術料も控除の対象になるものとされています。しかし、このような施術料であっても医療に関連するものでなければなりません。単なる肩こりや、足がだるい等、医療に関係のない理由で施術を頼んだ場合の費用は、医療費の控除の対象にはなりません。仮に、主治医の指示に基づき治療の一環として入院中の病室に呼んだのであれば、その施術料は対象になります。別途支払った往診料も対象に含めて差し支えありません。往診料込みで領収書をもらって下さい。

    2)不妊症の治療代や人工授精に際してかかる費用は、医療費控除の対象になります。

    医師による診療等の対価として支払われる不妊症の治療費は、医療費控除の対象になります。上記と同様であれば人工授精の費用についても対象になります。

    3)妊娠中絶の費用も医療費控除の対象になります。

    母体保護法にもとづく妊娠の中絶費用であれば、医療費控除の対象になります。医師による診療、治療の対価とされるからです。母体保護法にもとづかない妊娠中絶の費用を支出した場合、これを医療費控除の対象にしようという例はまずないのではないかと思われます。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その8~

    1)治療に際してのタクシー通院費も控除の対象になる

    医療費控除の対象となる医療費には「医師又は歯科医師による診療または治療」の対価のみならず、通院のための交通費=通院費も含まれることになっています。ただし、通院費となれば何でもよいというわけではありません。電車やバスで通院できるのにもかかわらず、タクシーを使って通院する場合の費用は医療費に含めることはできません。しかし、例えば雪道でころんで足を痛めた場合には、タクシーを使っての通院はやむを得ないところです。そのため、タクシー代も通院費として医療費控除の対象に含まれます。タクシー代は一切ダメということではなく、通院する人の事情によって判断されるものです。なお、支払ったタクシー代の領収証をもらい忘れたとき、また紛失した場合には、タクシーの利用月日、料金、経路等をしっかり記録しておくことが大切です。医療費控除の申告に際して通院費の明細を記入しなくてはなりません。明細書は税務署にありますので活用してください。

    2)「道庁退職者互助会」からの医療給付金と医療費

    「道庁退職者互助会」から給付された医療費給付金は、医療費控除額を計算する際に、給付を受けた金額を医療費から控除することになります。
    また、入院見舞金については、それが単なる見舞金である限りは控除する必要はありません。

    3)領収証がなくても医療費控除ができる場合

    条件つきで医療費控除の対象になります。医療費控除を受ける場合には、支払った医療費を証明するための領収証を添付することになっています。領収証をもらえない、領収証を紛失した場合にも、税務署は「誰がどこの医者にかかり、いつ、いくらの支払いをしたか」についての確認ができれば、領収証がなくても医療費控除を認めることにしています。まず、税務署に支払いの確認をしてもらうことになります。申告書(および明細書)とともに、医療費を支払ったことが確認できる診察券、家計簿、薬袋などを持参して税務署に確認してもらってから提出することです。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その9~

    1)生活費を仕送りしている郷里の両親の医療費を払ったときは控除対象となる

    仕送りによって両親の生活費の大部分が賄われている場合は、遠く離れている両親は仕送りをしている人(例えば長男)と「生計を一にしている」と判断されます。例えば、病院で長期療養中とか、大学などに通学するために別居しているとか、さらには家族と離れての単身赴任の場合等、生活がバラバラになっていてもすべて「生計を一にする」ものとされています。仕送りを受けて生活している場合には、仕送りする人と「生計一にする」ものとなります。

    次にご両親の医療費等を支払ったことを証明する領収書の宛名が「仕送りした人」の宛名ではなくご両親の場合、後日税務署からその点について照会があるかもしれません。仕送りをしていることの証明を求められることも考えられますので、生活費、入院費の送金資料をそろえておく必要があります。申告書を提出する前に、これらのことを説明し、了承を得ておくことも良い手段かと思います。

    2)毎月5万円ほどの仕送りをしている一人暮らしの母親の医療費を払った場合も控除対象になる

    例えば、お母さんの年収が40万円~50万円といった少額なもので、仕送りしている人から月々5万円が無ければ生活ができないというような場合には、仕送り人(長男)とお母さんとは「生計を一にしている」ことになり、あなたが負担されたお母さんの医療費は医療費控除の対象になります。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その10~

    1)今年4月から就職する予定の大学生長男にかかる医療費を父親が支払ったときは控除対象となる。

    医療費控除は自分自身の医療費のみならず「生計を一に」する親族の医療費を負担した場合にも認められます。長男は4月以降に就職して父親の許を離れ独立しますが、それまであなたの庇護の下で学校に通っていたのですから、当然「生計を一に」していたことになります。つまりその後に生計を別にして暮らすようになったとしても、医療費を負担した時にはまだ「生計を一に」している親族に該当しますので、長男の治療について負担された医療費は医療費控除の対象になります。なお、就職して生活が別になる4月以降に長男の医療費を負担されても医療費控除の対象にはなりません。

    2)別居している大学生の長女に歯の治療代を毎月の仕送りに加えて送っただけでは医療費控除はできない

    長女を疑うことになりますが、父親が送金したお金が長女の歯の治療費として使われたかどうかです。したがって治療した歯科医が発行した領収書を取り寄せ、医療費控除の還付請求をすることになります。別居している親族の医療費を負担した場合、負担した人と負担してもらう人が「生計を一に」しているかどうかが問題とされる例が多いのです。長女が父親の扶養親族になっているのでしたら、問題になるのは歯の治療費の領収書です。長女の方が領収書を紛失されている場合には歯科医に行って領収書を再発行してもらう必要があります。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その11~

    1)妻名義の預金から支払った医療費でも通常は夫の控除対象となる

    例えばお子さんが怪我をして妻名義の預金を下ろして支払った場合、その預金が夫の収入によるものであれば医療費控除の還付申請は夫がすることができます。

    2)父親の入院費を全額負担したときでも、父親名義で入院給付金が支払われると還付申請の計算が変わる

    父親が生命保険会社から受けたお金が次のようなものに該当していれば、「医療費を補てんする保険金等」になります。
    ①生命保険に付した災害入院特約、疾病入院特約、成人病入院特約にもとづく保険金
    ②傷害保険、疾病保険、ガン保険、医療保険などの保険
    これらの保険から医療費を支払っていない父親がもらわれたものであっても、入院費を全額負担したご長男の負担額から差し引かなければなりません。

    3)医療費控除の還付申告をしてしまった後に、生命保険会社から入院給付金をもらうと修正申告が必要になる

    医療費控除などにより税金を返してもらうための申告(還付申告)は、所得税の確定申告期限(平成25年は3月15日)を過ぎてもできます。確定申告期限から5年間はいつでも提出することができます。ちなみに保険会社からの給付金の給付は、かなり遅れる例もあるようです。給与以外に所得があるなど確定申告をしなければならない人は別ですが、還付申告は給付があってから提出した方がよいでしょう。確定申告時に入院給付金の特約を失念しないように、あらかじめ特約の確認をしてムダを省くようにしましょう。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その12~

    1)要介護者が通所介護等を受けるために必要な交通費は医療費控除の対象になる

    自宅で受けられる介護保険サービスは居宅サービスといいます。
    この居宅サービスには

    ①養護老人ホームあるいは老人デイサービスセンター等に通わせて介護する通所介護(デイサービス)

    ②介護老人保健施設や病院等に通わせてリハビリテーションを行う通所リハビリテーション(医療機関でのデイサービス)

    ③老人短期施設等に短期間入所させて介護する短期入所生活介護(ショートステイ)があります。

    このような居宅サービスを受けるためにはそれぞれの施設医療機関に通う必要がありますが、この場合の交通費については、その居宅サービスを受けるための自己負担額が医療費控除の対象となる場合で、その交通費が通常必要なものであれば医療費控除の対象になります。

    2)例えば夜中にかかり付けの医者にタクシーで往診してもらった場合の送迎費も医療費控除の対象になる。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その13~

    地元の医師では判断がつかないため、札幌の医師に診察を受けに行った交通費・宿泊代の医療費控除の有無は?

    1)交通費は医療費控除の対象に含める

    一般に入院や通院のための交通費は医療費に当たるといわれています。たとえば、札幌に所用があったついでに診察を受けてきたという程度では、その交通費として認められることは難しいでしょう。近くの病院で充分な病状の場合も同様です。なお、ホテルの宿泊費については、病院等に支払う入院費とは違いますので医療費に含めることはできません。

    2)入院患者の個人的な都合で一時帰宅に要する交通費は控除対象にならない

    例えばお盆とか年末年始に帰宅する交通費は、診療・治療に直接関係する費用ではないというのがその理由です。入院・退院に際しての交通費は通院と同じように医療費控除の対象になります。足が悪く歩行困難とか、急患といった場合にはタクシーを利用することもあります。これらは、医師の診療・治療を受けるための通院費であれば、医療費控除の対象となります。しかし、例えば長男の自家用車での通院等のガソリン代等は対象にはなりません。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その14~

    1)介護施設の施設サービスを利用する場合の自己負担金は、その2分の1が医療費控除の対象になる

    要介護の認定を受けた人は、指定介護老人福祉施設で介護等の施設サービスが受けられます。この施設サービスを受けるには、介護に要する費用の1割、食費と居住費を負担しなければなりませんが、施設サービスを利用する人が負担した自己負担分のうち2分の1に限って医療費控除の対象とされています。この場合、医療費控除の対象となる金額が明示されている指定介護老人福祉施設が発行した領収書を、確定申告書に添付又は確定申告の際に提示しなければなりません。

    2)生活ケア付高齢者賃貸ホームに支払った介護費は医療費控除の対象になる

    寝たきり老人の療養上の世話を保健師や看護師、准看護師、家政婦などに依頼した場合のその世話の対価は、医療費控除の対象とされています。この場合の療養の場所については、病院であるか自宅であるかは問題ではありません。賃貸ホームにおける介護が、看護師やヘルパーによって行われているような場合には、その介護費は医療費控除の対象となります。

  • 「医療費控除」でしっかり節税を  ~その15~

    1)成人用おむつの購入費用は控除対象になる

    寝たきり老人や傷病により寝たきりとなった人(おおむね60日以上)については、疾病の治療を行う上においておむつの使用が欠かせない現状にあることから、これらの人の治療を継続的に行っている医師がその治療上おむつを使用することが必要であると認めた場合には、医師の治療を受けるために直接必要な費用と認められます。在宅で治療中の場合も含まれます。なお控除を受けるために、「おむつ使用証明書」とおむつ代の領収書を確定申告書に添付するか提示することが必要です。「おむつ証明書」は現に治療を行っている医師が作成して交付されることとなっています。

    2)寝たきりのため在宅療養の世話を家政婦に頼んだ場合の費用は医療費控除の対象になる

    家政婦さんを頼んでの世話は療養を受ける場所が問題になりますが、それは病院であるか自宅であるかは問われません。在宅療養の世話の費用については、例えば領収書だけで療養上の世話であるか、単なる家事手伝いの費用であるかの区別は必ずしもはっきりしませんので、実務上の混乱を避けるため、厚生労働省は市町村等に対して一定の証明書を発行するよう文書で要請されています。

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